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コラム 医師が教える「ほくろ除去を考える前に知っておきたいこと」

2025年11月17日

ここ数年、当院にも「ほくろを取りたい」「顔の印象を変えたい」といったご相談が非常に増えています。
美容技術の発展により、ほくろ除去は以前よりも短時間・低負担で行えるようになりました。しかし、“美容目的の除去”と“医療的に必要な除去”はまったく別物です。

目次

はじめに ― 院長として伝えたいこと

ここ数年、当院にも「ほくろを取りたい」「顔の印象を変えたい」といったご相談が非常に増えています。
美容技術の発展により、ほくろ除去は以前よりも短時間・低負担で行えるようになりました。しかし、“美容目的の除去”と“医療的に必要な除去”はまったく別物です。

私は皮膚科医として、「ただ取る」のではなく、**“診断の上で安全に除去する”**という視点を常に大切にしています。この記事では、ほくろ除去を検討する前に知っておいていただきたい基礎知識を、医師の立場から丁寧に解説します。


1. そもそも「ほくろ」とは? その正体と仕組み

「ほくろ(母斑)」は、皮膚の色素をつくる細胞=メラノサイトが一部に集まり、局所的に色素が沈着した状態を指します。
多くは良性であり、身体に害を及ぼすものではありません。しかし、まれに悪性黒色腫や有棘細胞癌など、放っておくと大きなトラブルとなる、悪性のほくろもあります。

ほくろは、生まれつきあるもの(先天性)と、後天的にできるものの2種類があります。後者は、紫外線や加齢、摩擦などのストレスなどが原因で発生します。
つまり、**「急に濃くなった」「形がいびつになった」「かゆみ・出血がある」**といった変化が見られる場合は、美容目的で除去する前に、必ず皮膚科で診察を受けるべきです。


2. ほくろ除去を“美容目的だけ”で考えてはいけない理由

SNSや美容動画では「1分で消える」「シールで取れる」などの簡易的なほくろ除去が紹介されていますが、医師としては非常に危険だと考えております。

刺激をすることでほくろに色素沈着が加わってしまい、より濃く大きく目立ってしまう可能性もありますし、それ以上に、見た目が似ている“皮膚がん”を誤って刺激してしまうリスクがあるからです。

実際、当院にも「美容サロンでレーザーを当てたら再発した」「除去後にしこりが残った」といったご相談が寄せられます。
美容サロンやエステでは、医療行為にあたる“皮膚切除”や“レーザー照射”は本来行えません。
医師が診断するからこそ、適した方法で、安全に除去できるのです。


3. 除去前に確認すべき「3つの診断ポイント」

ほくろ除去の前には、以下の3点を確認することが非常に重要です。

① 良性か悪性かの鑑別

形がいびつ・境界が不明瞭・色の濃淡が不均一・急に大きくなったなどのサインは、悪性の可能性があります。医師によるダーモスコピー検査で判断します。

② 皮膚層の深さ・大きさと位置

ほくろが皮膚のどの層にあるかによって、最適な除去法が異なります。浅いほくろ、小さいほくろならレーザー、深いほくろ、大きいほくろについては切除縫合が適します。

③ 仕上がり・跡の希望

「傷跡を最小限にしたい」「再発を防ぎたい」「メイクで隠せる程度にしたい」など、希望の仕上がりを明確にすることで、施術法を最適化できます。


4. ほくろ除去の主な方法と特徴

医療機関で行う除去法は主に以下の3種類です。

● レーザー除去(炭酸ガスレーザーなど)

皮膚の表面をレーザーで蒸散させて除去する方法。短時間で痛みも少なく、顔などの小さいほくろに適しています。
再発リスクはやや高めですが、跡が残りにくく、美容目的の除去に向いています。

● 電気メス(高周波メス)による除去

高周波電流でほくろを焼き切る方法。出血が少なく、浅いほくろに有効です。レーザーよりもコストを抑えられる場合もあります。

● 切除縫合法

皮膚をメスで切開して取り除き、縫合する外科的手法。大きいほくろ、顔以外のほくろ、悪性疑いのある場合に適用されます。
再発率が低く、病理検査にも対応できる点が特徴です。


5. 「痛み」「ダウンタイム」「跡」の実際

患者さまが最も気にされるのが「痛み」と「跡」です。
現代のほくろ除去は局所麻酔を使用するため、施術中の痛みはほとんどありません。
レーザーなら数分、切除でも15〜30分程度で終了します。

施術後は軽い赤みやかさぶたが数日〜1週間程度続きますが、適切なケアで徐々に落ち着きます。
特に顔の場合、紫外線による色素沈着を防ぐため、UVケアと軟膏の塗布が大切です。

傷跡は体質にもよりますが、一般的には1〜3ヶ月で目立たなくなります。


6. 保険適用になるケース・ならないケース

「ほくろ除去に保険は使えるの?」という質問も多いです。
原則として、**見た目改善を目的とする除去は自由診療(自費)**になります。

ただし、悪性黒色腫や有棘細胞癌の疑いがある場合、または出血やかゆみ・増大などの症状を伴う場合は、保険適用の対象となることがあります。
診断の結果に基づき、医師が判断しますので、まずは皮膚科で相談するのが安心です。


7. 自分に合った除去法を選ぶための3つの基準

  1. 部位とサイズ:顔・体・手足など、部位によって適した方法が異なります。
  2. 目的と優先度:傷跡の少なさか、再発防止か、費用かを明確にする。
  3. 医師との相性:カウンセリングで丁寧に説明してくれる医師を選ぶこと。

特に顔面の施術は、ミリ単位での仕上がりが問われます。経験豊富な医師に相談することで、満足度が大きく変わります。


8. よくある誤解と失敗例

❌ 市販クリームで除去できる?

できません。化学的な刺激で皮膚炎や色素沈着を起こすリスクがあります。

❌ エステや美容サロンでも可能?

医療行為に該当するため、医師が常駐していない施設では違法です。エステで使われる『低周波ペンシル』などの機器で無理やり削り取ることは、残存や色素沈着のリスクが大きくなります。

❌ 1回で完全に取れる?

ほくろの深さや体質によっては、2〜3回の照射が必要な場合もあります。

正しい知識を持たずに自己判断で除去すると、再発・傷跡・感染といったトラブルにつながる恐れがあります。


9. 医師から見た「後悔しないほくろ除去」とは

多くの方が「取ってよかった」と感じる一方で、「跡が残った」「思ったより濃くなった」と後悔するケースも少なくありません。
後悔を防ぐために大切なのは、“目的”と“リスク”を理解した上で決断することです。

医師としては、「気軽に取れる」という印象よりも、
**“皮膚を扱う医療行為である”**という意識を持っていただきたいと考えています。


10. まとめ ― 安全にきれいに除去するために

  • ほくろは良性がほとんどだが、まれに悪性のケースもある
  • 除去前には医師による診断が必須
  • 方法はレーザー・電気メス・切除の3種類
  • 保険適用は「医療的必要性」がある場合のみ
  • 仕上がりは医師の技術とアフターケアで大きく変わる

院長からのメッセージ

ほくろ除去は、見た目の印象を変えるだけでなく、**「肌の健康を守る」**という意味でも重要な治療です。
インターネットの情報だけでは判断できないケースも多いため、まずは専門医にご相談ください。
「取る・取らない」を含めて、あなたの肌にとって最善の選択を一緒に考えていきましょう。

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